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ほれたんもんまけ 多少困難なことがあってもすきだからしょーがない。

更新日:2020年1月16日

VOL.1 余島 睦美(よしま むつみ)さん(SURUDAWAI)





今回、ご紹介するのは8月にオープンしたばかりのSURUDAWAI(するだわい)を営む、余島睦美さん。大阪に在住していた彼女が、初めて知夫里島(知夫村)に訪れたのが2年前。その3か月後には移住、そしてこのSURUDAWAIを開こうと決意したのが移住から半年後。

何が、彼女をここまで突き動かし続けるのか、そのきっかけについてお聞きしました。







はじまりは、旧友の電話から





 

知夫に来たのは、“一目ぼれ” 

ここには、私がほんまに欲しいものが、ぜんぶあると思った。

 


2017年5月、知夫里島へ移住した大阪の友人に誘われ、睦美さんはこの島に初めて遊びに来ました。そこでこの島の観光名所のひとつ、赤はげ山に出会います。友人の導きで、知る人ぞ知る、赤はげ山のもう一つの名所へ。

そこは、芝が青々と伸びて遮るものもなく、あたり一面見渡せる。新緑に、青い空に、奥には青い海が広がっていました。



「下からすっごい風がぶわってこう自分に吹いて、うわぁって。」



この景色に、睦美さんの大好きなナウシカを重ねたんだそう。一目ぼれみたいなものだったといいます。


その当時の仕事は、流行を追い情報と人を見続けものを売る仕事。流行り廃りに振り回される日々にしんどさを感じていたそうです。物と情報にあふれる都会の中で自分の在り方を模索していました。



「ここには何にもないけど、私がほんまに欲しいものは全部ある!腑に落ちた!」

牛飼いの人が知るもう一つの赤はげ山の名所

その場で移住を決意したと、睦美さんは力強く語ってくれました。






 

まほうのパスをもらったような、

手をかざすだけで 自動ドアのように扉が開いていった。

 

実は夏には退職する予定だったという睦美さん。


友人が先に移住していたのもあり、離島に移住するのは決して難しい決断ではなかったといいます。大阪に戻ってから、オンラインで知夫村役場の人とやり取りし、仕事も決まり、あっという間に移住に至ります。






■シルクスクリーンに一目ぼれ



 

これが島にあったら最強だ!

 

知夫里島にきてからは、地域おこし協力隊として、観光PR、特産品をつかった商品開発を担当。そんな折、大阪の出張の間にシルクスクリーンという技法を用いて、布や紙に印刷するレトロ印刷主催のワークショップに出会いました。



「すごい楽しい!すっごいかわいいい!お店まるごと島に持って帰りたい!」



知夫に発展するものが欲しいと思っていた睦美さん。シルクスクリーンは技法だから、使い方や、アイディア次第でいろんなものにつかえると確信。





数日後、奇しくもシルクスクリーンの全国展開プロジェクトのお知らせが目に留まり、その場で開業を決意。それは、ワークショップに足を運んだ日から4日目のことでした。


「やると決めたときは、物件も何も決まってなくて、メーカーさんにだけは、何が何でもやりますと伝えてー」



あとは運命的な出会いに流れ身を任せたといいます。





 

3年後スタートでもいいかと考えていた。けれど、この物件を手放すぐらいなら。

 

まず、シルクスクリーンを使えてもそれを実行できる場所がない。古民家探しを始めた睦美さん。いくつかの候補の中にあった一つの港から近い古民家に決めました。

そこの物件は人気物件。大家さんも早く入れる人に貸したいということで、予定よりも大幅に早く手を打つことになったといいます。

港近くで、すぐ誰でも来れる場所にある。車ありきの島の交通事情、車がなくても来れることが、最大のポイントでした。

そこから地域おこし協力隊の卒業日も決め、立ち上げに向けて想いは加速していきます。




■古民家という物件


お店が立ち上がるまでに一番苦労したことは、“古民家の掃除”でした。

地域おこし協力隊の仕事もしながら掃除に取り掛かったので、空き時間にコツコツ半年くらいかかった、と笑う睦美さん。

大家さんが年に一回、お盆には帰ってくる家。かつては、長く住んでいた家屋。そこには10年前の生活の名残があふれていました。何を捨て、何を残すか。大家さんと逐一やり取りし、ゴミ捨てや、掃除に取り掛かりました。

そして同時進行で完成図のイメージを膨らませ改修作業を進めました。

一階は、仕切り戸を外して解放感あふれる作業場に、くつろげる一部屋。

お店の二階は、お盆に帰ってくる大家さんの宿泊スペースになっています。




 

SURUDAWAI(するだわい)

 

お店の名前は、「刷る」と「する(do)」に知夫弁の「だわい」を足して、「SURUDAWAI(するだわい)」と命名。するだわいの発音は、人によって違うのがまた面白いと睦美さんは笑います。

シルクスクリーンの文化が、島の人に身近になったら。

自分が好きなものを人と共有して一緒に楽しめたらいいという、睦美さん。



「誰かの挑戦に対して、自分がサポートできるか。自分の想像の外に人のアイディアがあるから、寄り添いながらチャレンジしていければ。」



未来のアーティストになるかもしれない、アートに興味のある子供たちを、離島では普段出会えないひとたちと、つなげていきたい。今後は、本土で活躍するイラストレーターの方を呼んでワークショップなどを開いたり、未来の子たちの架け橋になれればと展望をのぞかせてくれました。









■この島で生きてゆく。


 

私は、私のままでいい!と気づけたことが、ハッピーなこと

 

自分として居心地がいい自分は、世界に対してもハッピーではないかと考える睦美さん。知夫の何もなさが雑音もはいってこなし、情報量の少なさが、私の中ではちょうどいい大きさだと彼女はいいます。

ひとつのことに手間をかけられる、丁寧に生きられるということ。

自分が自分のことを大切にできるこの場所で、三つくらいの生業で生計を立てていくことが目標だそうです。SURUDAWAIはその一つ。あとの二つはめぐり合わせや、興味のあるほうへ。最終的になりたい自分の一要素は極力好きなもの、人と共有してうれしいもので埋め尽くしたいそうです。




そんな余島睦美さんが“知夫村を一言で表すとしたら”



「ひとめぼれ」



“ほれたもんまけですわ”と、彼女は笑います。

凪の日もさざ波の日も荒波の日もあるこの知夫里島で、“まーいーだわい。”と波に乗っていく睦美さんの姿を、見かけるかもしれません。








SURUDAWAI(するだわい)



シルクスクリーン体験、ハンドメイド雑貨、アクセサリー販売

営業日 金・土・日 (10:00-18:00)

住所 知夫村来居1686番地

Mail:surudawai@gmail.com

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